トルネックス外気清浄機
空気と換気のコラム
2017/01/26 3.換気装置の維持管理

■熱交換セントラル換気システムは、リスクのオンパレード

 住宅の全般換気として専用の機械換気システムが普及しています。当然ですが、完成後には、保守が欠かせません。そこで、15年ほど前になりますが、維持管理の性能を点数化する方法を考えてみました。換気システムの中で掃除をしなければならない部位について、その状態によって点数付けをする仕組みです。多くの熱交換換気システムでは、100点満点で20点がいいところです。どう考えても長期的な維持管理が期待できる装置とは言えませんでした。換気装置のメーカーさんに注意を促そうとして作成し、発表もしたのですが、ほとんど反応は見られませんでした。
 


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■汚れる場所と汚れた状態

 まず3つの写真を見てください。最初は汚れたフィルターです(写真1・2)。熱交換換気装置の場合、排気にも給気にもフィルターがあります。外気を取り入れる部分では虫がたくさん入ってきて引っかかりますし、排気する部分では、衣服から出る綿ごみを中心にフィルターに引っかかります。次の写真です(写真3)。このフィルターを清掃する自分を想像してみてください。日本では、多くの場合換気装置は天井裏です。脚立に立って、腕をいっぱいに伸ばして、ふたのつまみを指先で操作して、ほこりを被りながら取り外します。普段のおそうじで、こんな危険な作業はそうないですよね。

 


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(写真1)フィルターの汚れ
 
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(写真2)熱交換素子の汚れ
 
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(写真3)小屋裏の換気装置
(ホーム企画センター提供)

 

 そもそも、何のためにフィルターはあるのでしょうか?これは、熱交換素子を守るためなのです。フィルターがちゃんと設置されないと、写真のようになります。これらの部分にごみが詰まると熱交換ができないばかりか、換気が止まってしまいます。昨今の換気装置は、直流モーターを使い、フィルターなどが詰まってくると、換気量を確保しようとして、最大能力までファンが頑張ります。電気代が増えて換気ができなくなるという、最悪の事態も決して稀ではありません。

 

■ダクトシステムの汚れ

 ダクト式の換気システムには、ダクトのほか排気口や給気口など、汚れが蓄積する場所がたくさんあるのです。そこで次の写真です。まず、換気フードの汚れです(写真4・5)。これは排気口ですが、防虫網がついているため、すっかり閉塞しています。通常フードは取り外しできないように設置されていますから、詰まったらおしまい。排気セントラル換気やサニタリーの局所換気を併用する場合にもよく見かける光景です。一方、給気側のフードでは、絶対掃除ができない、というわけではありませんが、掃除をしている例は見たことがありません。必要性も感じていませんし、気づいてもいません。この結果、虫やごみの詰まった汚れフィルターを通ってきた空気が室内に提供されるのです(写真6)

 


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(写真4)排気フード内側の汚れ
 
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(写真5)給気フードの外側
 
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(写真6)室内排気口フィルターの汚れ

 

 室内からの排気口にフィルターを付けておくことは、室内の綿ぼこりが室内側で除去、掃除できるので、良いアイディアなのですが、見かけを気にして外側枠の中にフィルターを設置すると、汚れが見えなくなってしまいます。せっかくお掃除好きのお宅でも、気づかなければこうなってしまいます。汚れが良く見えて直接掃除できるような排気口を作ってもらいましたが、汚れが見えること自体が問題なのでしょう。ほとんど使われません。本当に残念です。

 

 ダクトの中はどうでしょうか?施工効率を求めて小口径のフレキシブルダクトが普及しています。もちろん掃除は考えていませんね。20年以上の年月はダクトの中をどう変えるでしょうか?スウェーデンでは、ダクトシステム中は容易に清掃できることが条件です。その差は言わずもがなですね。

 


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(写真7)小口径フレキシブルダクト
 
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(写真8)フレキシブルダクトの中
 
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(写真9)スウェーデンのダクト

 
 欧米で使われている熱交換換気装置は基本的に壁掛け型か床置き型です。換気装置を採用するのはホームビルダーですが、これらの保守に責任を取る気のある人はいるのでしょうか?もしそうなら、天井裏に換気装置を入れるなどということをするはずはないのです。もう一度、保守を考えてから換気装置を選びませんか?
 
(つづく)
 

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■福島明先生コラム一覧

1.空気環境の安全性

2.24時間換気装置は働いているか?-換気装置が働かない訳-

3.換気装置の維持管理

4.熱交換はお得か?

5.自然換気という選択

 

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