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空気と換気のコラム
2015/04/28 4.地域で異なる発生源

PM2.5の発生源は多様です。ちなみに、日本のPM2.5の場合、九州では約70%が中国や韓国からやってくるPM2.5が原因ですが、東京ではこの割合が約40%程度となることが分かっています。このようにPM2.5の発生源は国や地域で異なります。そして、季節によっても異なってきます。また、人間活動の盛衰によっても異なると言ってよいでしょう。例えば、表に論文で発表された3つの国のPM2.5の発生源をまとめました。北欧のスウェーデンように、冬季が長く土壌表面が雪や氷で覆われることが多い国では、土壌によるPM2.5の発生は10%程度で交通や石油や石炭などのバイオマス燃料の燃焼を原因とする割合が非常に大きくなります。一方、南米のチリでは銅やリチウムなどを採掘する鉱業が盛んであることから、この経済活動に伴う銅精錬や工場によるPM2.5の発生が多くなっています。さらには隣国である韓国では、このデータはソウル市におけるものであるが、交通によるPM2.5の発生が67%と全体の3分の2にも及んでいます。韓国の場合には、日本よりも更に中国に近いため、中国から飛来するPM2.5の影響は大きいのですが、この表は国内の発生源だけを示していますからここには含まれていません。


井上先生コラム4-1

 

日本の中でも、地域によって発生源が異なります。環境省は、国内のPM2.5発生源を調べて、人間の活動に伴うものとしてエネルギー関係、農林水産業(野焼きを含む)・建設業等、工場、家庭(喫煙・調理を含む)、廃棄物(ごみ)焼却、自動車・飛行機・船などを挙げています。そして、自然現象として、土壌、火山、海塩を挙げています。海塩とは海の水からできる粒子のことです。普通に考えると海岸に打ち寄せる波が空気中に飛散したものを思い浮かべることができますが、PM2.5の場合にはそれらの水分が蒸発して残った塩などが空気中に漂ったものをさす場合がほとんどです。環境省はこれらの発生量に関するデータを今、取得中で平成26年度分は今後発表される予定です。

 

ちなみに私たちは、日本各地でPM2.5サンプルを収集しています。奄美大島の海岸で採取したサンプルには写真で分かりますように、海の塩が固まったものや海藻などの植物が腐ったものが飛散していることが分かりました。また、鹿児島市の桜島の麓で採取したサンプルは意外に大きく、採取した空気浮遊物のうちPM2.5の割合はそれほど大きなものではありませんでした。


井上先生コラム4-奄美大島

井上先生コラム4-桜島

鹿児島大学によれば、桜島からの距離が30kmに及ぶドーナツ型の地域に呼吸器疾患(肺の病気)が多いとのことでした。桜島から近い地域では比較的大きな火山灰が多いため、逆に肺の深部にまで入り込むことができないが、桜島から少し離れた地域には、PM2.5のような小さな火山灰が到達するために呼吸器疾患が多いのかもしれません。これは今後の検証が待たれます。

 

次回は私たちの身近に存在するPM2.5から身を守るために何ができるかについて書かせて頂きます。

 
 


井上先生プロフィール

 

■井上浩義先生コラム一覧

1.大気汚染の歴史から現在の汚染状況

2.PM2.5による健康被害について

3.PM2.5の発生メカニズム、発生状況(今後も続くPM2.5)

4.地域で異なる発生源

5.PM2.5から身を守るために(マスクのような繊維状フィルタの効果は?)

6.PM2.5時事解説

 
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