空気と換気のコラム
2015/01/21 4.必要な気密性

断熱すれば気密(上下の気流止め)が必要だと本シリーズ2で書きました。これは安全な断熱化のための最低の気密性能です。では、求める気密性とはどんなものでしょう。実は換気の原則の「出入り口を明確にする」ために必要なレベルということ。

換気の種類

図1のように、換気には4つの形態があります。給気と排気の両方を強制的に行う「第1種」と、給気だけ強制的に行う「第2種」、排気だけ強制的に行う「第3種」、そして自然換気の「第4種」です。この内、一般的に採用されているのが第1種と第3種で、第1種は熱交換換気のケースがほとんどです。

第3種(排気型)は各居室から給気して、トイレやクローゼット、浴室など空気の汚れる場所から排気します。この時、新鮮空気を取り込みたい寝室は2階にあります・・実はこれが曲者なのです。


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図1 換気の種類

温度差換気

図2は温度差換気の流れを示したものです。家の中の温度が外気より高いと、家は風船のように膨れて、空気は穴があればそこから出て行きます。冷たい外気は重いので下部の穴から入り、室内空気は温度が高くて軽いので上部の穴から出ていきます。

さてこの状態で強制的に排気すると、2階の寝室から新鮮空気を取り込みたいと思っても「出る」力が働いていてままなりません(図3)。これが曲者といわれる所以ですが、ここで強引に引っ張るために必要になるのが高い気密性なのです(図4)


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第3種では2cm2/m2以下

図5は東京での気密性と換気の流れを示したものです。ちょっと専門的で難しそうですが大したことはありません。気密性が5cm2/m2だと2階から出て行きますが、2cm2/m2にすれば2階からも取り込むことができ、1cm2/m2を切れば家全体から平均的に取り込むことができます。つまり、「出入り口を明確にするため」に必要な気密性の目安は2cm/mを切ることと読むことができます。これは温暖地(東京)でのことで、寒冷地は更に気密性を高くしなければなりません。

気密性は家に風速4.5m/s程度(1㎜Aq、9.8Pa)の風圧が掛かっている時に、床面積あたりどれだけの隙間(cm2/m2)があるのかを割り出したもので、気密テスト(写真1)により計算されます。


4-図5
図5 建物の気密性能の変化による外気導入量の分布(東京)

 

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写1 気密測定の様子

 

では一般的な戸建住宅の気密性はどれほどなのかというと、図6のような調査結果があります。シックハウス法(2003)施行前に調査したもので、木造在来工法で平均5.5cm2/m2でした。更に合板を張り巡らせる2×4工法は2.1cm2/m2で、在来工法でも耐震のために合板を張り巡らせれたものは2.7cm2/m2でした。従って、第3種で求められる2.0cm2/m2以下の気密性は、ちょっと頑張らないとつくれないレベルだといえます。


図7

図6 戸建住宅・工法別気密性能実測調査結果

熱交換は1cm2/m2以下

さて、給気も排気も強制する(第1種)熱交換換気なら、高気密でなくてもよさそうですが、実は熱交換換気こそ高い気密性が要求されます。なぜなら熱交換は装置の中で行われるだけで、家の隙間を行き交う空気は熱交換できないからです。従って、建物が高気密でなければ「熱交換の意味を失う」のです。

以上のことから、第3種では2cm2/m2以下、熱交換換気では1cm2/m2以下が要求されます。

断熱すれば気密が必要で、気密にするから換気が必要になり、そこで求められる気密性は「換気が適正に働くため」のレベル・・なんだか換気に振り回されているような気がしてきますが、すべては健康で快適な家づくりの道筋なのです。

 
 


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■南雄三先生コラム一覧

1.空気がきれいなのは内・外どっち?

2.換気の目的と気密

3.計画換気の原則

4.必要な気密性

5.必要な換気量

6.換気はメンテが命

 

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