空気と換気のコラム
2015/05/12 5.PM2.5から身を守るために(マスクのような繊維状フィルタの効果は?)

PM2.5から身を守るために何ができるのか?多くの方々にこの質問を受けることがあります。しかし、PM2.5はその小ささ故に、我々がそれを退けるには大変にやっかいな物質です。環境省は2013年2月に環境基準を発表し、それに伴って、注意喚起のための指針を出しました。但し、これは暫定的なもので、今後改訂されていきます。実際に、昨年(2014年)11月に一部改訂されました。しかし、この改訂は「運用」に関するもので、注意喚起の数値が変わったものではありません。改訂内容としては2つあり、注意喚起(警報)をいつまでも出したままではいけないので「解除」の方法を示したことと、注意喚起(警報)を出す方法を変えて、「見逃し」を減らすようにしたものです。


井上先生コラム5-2

 

さて、この環境省が示す注意喚起で勧められている“屋内への退避”ですが、専門家によってはあまり効果がないという意見もあります。屋内に入れば屋外の20%程度までPM2.5を減らすことができるという測定結果もありますが、多くの測定結果では平均は80%程度です。そうです、日本の家屋は通気性に優れているために、PM2.5も家の中に入れてしまっているのです。このように構造的にPM2.5が入り込み易い、私たちの家屋ですが、それでも、PM2.5を家の中に入れないことが必要です。
①洗濯物や布団を外に干すことは問題ありません。ただし、室内に取り込む場合には花粉などで行うように屋外で振ってから取り込むようにして下さい。PM2.5は花粉などに比べると非常に小さく、軽いので少し振るだけで落ちてしまいます。
②外から帰って来るときに最もPM2.5が付着しているのは靴です。①と同じように軽く屋外で振るってから玄関に入るようにすると良いでしょう。
③靴以外ですと、パンツの裾にPM2.5は多く付いていることが分かっています。特に裾をダブル仕様にしておられる方は時々掃除が必要です。

 

また、多くの方々が有効と考えられているマスクですが、PM2.5のように小さなものを捕らえるのはなかなか難しいのが実情です。写真は顕微鏡で撮影したマスクの拡大写真です。それほど安いマスクではないのですが、左下のPM10(PM2.5の4倍の大きさ)に比べると繊維間の隙間が、大き過ぎることが分かると思います。このため、近頃ではPM2.5対策のマスクが売られていますが、ちょっと高価です。なお、PM2.5とはまったく関係ないのですが、風邪の季節になるとマスクをしておられる方をたくさん見かけます。細菌は1マイクロメートル程度ですから、PM2.5の2.5マイクロメートルよりも更に小さく、ウイルス(インフルエンザウイルスなど)は0.1マイクロメートル程度ですから更に細菌の10分の1です。従って、普通のマスクでは細菌もウイルスも平気で通過してしまいます。くれぐれもご注意を!


井上先生コラム5-1

 

なお、マスクがこの結果ですから、室内で使われる空気清浄機も同様です。良いフィルターを使わないと床に落ちたPM2.5を再び空気中へ飛散させるだけになってしまうかもしれません。更には、良いフィルターは目詰まりがし易いことにも注意が必要です。こまめな交換を心掛けましょう。

 

次回はいよいよ最終回です。PM2.5問題はどのように対策が立てられているかなど最近の話題を中心に書かせて頂きます。

 


井上先生プロフィール

 

■井上浩義先生コラム一覧

1.大気汚染の歴史から現在の汚染状況

2.PM2.5による健康被害について

3.PM2.5の発生メカニズム、発生状況(今後も続くPM2.5)

4.地域で異なる発生源

5.PM2.5から身を守るために(マスクのような繊維状フィルタの効果は?)

6.PM2.5時事解説

 
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