お家の空気質を考える

必要な気密性

 安全な断熱化のための最低の気密性能とはどんなものでしょうか。
 換気の原則の「出入り口を明確にする」ために必要なレベルということです。
 
 給気も排気も強制する(第1種)熱交換換気なら、高気密でなくてもよさそうですが、実は熱交換換気こそ高い気密性が要求されます。
 
 断熱すれば気密が必要で、気密にするから換気が必要になり、そこで求められる気密性は「換気が適正に働くため」のレベル・・なんだか換気に振り回されているような気がしてきますが、すべては健康で快適な家づくりの道筋なのです。

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換気装置の維持管理

 住宅の全般換気として専用の機械換気システムが普及しています。当然ですが、完成後には、保守が欠かせません。
 
 そこで、15年ほど前になりますが、維持管理の性能を点数化する方法を考えてみました。換気システムの中で掃除をしなければならない部位について、その状態によって点数付けをする仕組みです。多くの熱交換換気システムでは、100点満点で20点がいいところです。どう考えても長期的な維持管理が期待できる装置とは言えませんでした。

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24時間換気装置は働いているか?-換気装置が働かない訳-

 ズバリ言いましょう。まともに働いている24時間換気は、極めてまれです。働かない状況や理由は様々ですが、根本的な理由は、人が室内空気質に対して鈍感であるということです。
 テレビ番組の情報ですが、100戸程度のマンションで、何人かの主婦の方を目隠しし、幾つかの住戸を廻るのですが、全員が自宅を言い当てるのです。特有の匂いがあるから、と思われがちですが、そうではなく、自宅だけが臭わないのです。人間の匂いに対する順化はとても強力で、初めての人には感じても、住んでいると全く匂いとして認識しなくなるのです。換気量不足がクレームにならないのはこれが理由です。

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暖房・冷房と換気

Q.住宅の断熱気密が高くなることで実現できる、高効率な暖房設備とは?

A.床下暖房
 住宅の換気を計画する時、暖房・冷房との関わりは、とても大切です。換気を味方につければ快適性もエネルギー性能も格段に高まりますが、配慮なしに計画して、暖冷房の設備と喧嘩する結果になれば、快適性もエネルギー性能も阻害される結果になります。高性能住宅では、暖房に必要なエネルギーの半分以上を換気が占めるのですから、当然ですよね。暖房・冷房と換気の関わり、そして快適な室内環境と換気について考えてみましょう。
 
 住宅の断熱気密性が高くなると、設備が変わります。換気と床下暖房との出会いは衝撃的です。ベランダ窓の下に床下暖房をしたら、床の表面温度が室温より少し高い温度で、全く均一な温度となりました。どんな高度な床暖房設備でも実現することが難しいのではないでしょうか?ここに外気を入れることで、換気による寒さを完全に防ぐことが出来たのです。

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自然換気という選択

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Q.室内外の温度差を利用し、生活の知恵として古くから利用されてきた住宅換気の基本的な技術とは?

A.自然換気
 内外の温度差(煙突効果)を利用した自然換気は、世界中でその実例をみることができます。日本の伝統的民家では、棟に排気のための開口を設け自然排気を行う手法が共通してみられるし、欧米の古い住居では、住宅の屋根上には排気塔林立しています。高温乾燥の気候で知られるイランでは一般住居のほとんどに自然換気用煙突、バッドギアが備えられています。温暖な気候のバルセロナに建つガウディー設計の住居に見られる排気トップのデザインはあまりにも有名です。自然換気自体は、これらの例を待つまでもなく、生活の知恵として古くから利用されてきた、住居の基本的な技術なのです。

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熱交換はお得か?

Q.室内空気環境をより高めたい時、熱交換換気装置の果たす大きな役割とは何でしょうか?

A.必要な場所に必要なだけの新鮮空気を計画的に供給することが可能
 室内空気環境をより高めたい時、熱交換換気装置は大きな役割を果たす可能性があります。まず、ダクトシステムを持つものがほとんどですから、必要な場所に必要なだけの新鮮空気を計画的に供給することが可能です。単純な3種換気に比べて、室内の空気分布を大きく改善が期待できます。
 より多くの換気をしようとする場合、一般に空気環境と省エネルギーは相反する関係にあると言われています。空気質を高めようとすれば換気量を増やすことになりますが、省エネルギーには反するというわけです。
 ですから、換気量を増やしてもエネルギー消費量の増加が僅かな熱回収換気装置は、換気量を増やした時に絶大な省エネルギー効果を発揮するのです。
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 また、熱交換換気装置には、もう一つ大きな利点があります。それは取り入れ外気の予熱です。取り入れ外気による寒さは、断熱住宅にとって最大の課題です。図は、壁面の自然給気口から侵入する冷気の流れです。この寒さが換気装置を止める最大の原因の一つなのです。快適性を損なうことなく良好な換気を実現できる、そうした意味で、熱交換のメカニズムは、確かに大変魅力的です。

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計画換気の原則

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Q.住宅に必要な量の換気の目安はどれくらいだと思いますか?

A.2時間に1回
「必要な量」の目安は、日本では「0.5回/時」とされ、世界的にもこの程度が基準になっています。これ以上換気すれば熱損失になり、不足すれば空気汚染になります。でも今では「人が不在の時はもっと少なくてよいのでは?」という発想から、デマンド換気(湿度センサーで給排気量を調整)が注目を集めています。
0.5回/時といえば、床面積130㎡、天井高2.4mの場合、130×2.4×0.5回/時で約150m³/時となります。トイレ2つ+浴室1つの局所換気で丁度よいことになります。この3つを連続運転すれば全体換気になります。気密とは穴を開けること。
さて、出入り口を明確にするために必要なことは何でしょう。ズバリ「高い気密性」です。詳細は次回に回すとして、高気密というと「息苦しいのでは」と想像する人がいます。竣工後も高気密だと思い込んでいるからです。
そんな人に私は、「高気密とは、いったん針一本通さないほど高気密につくっておいて、自分が開けたい処に穴(給・排気口)を開ける行為。穴を開けるのだから高気密ではありません」と伝えます。

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換気の目的と気密

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Q.家の中を温めるためには「断熱と〇〇が必要です」。〇〇に入る言葉は何だと思いますか?

A.気密
昔から日本の家は夏向きにつくられていたので、気密性には無頓着。隙間風が出入りして、ひどい寒さの中で我慢の生活をしてきました。我慢は美徳ですが、ヒートショックで脳卒中を誘発したり、肺を冷やして低体温症に陥れば美徳といってはいられません。
家の中を温める必要がありますが、大きなエネルギーが要求されます。そこで登場するのが断熱です。もちろん断熱しても隙間風が出入りしたままでは意味がありませんから、気密化が必要になります。断熱・気密は一体で考える必要があります。

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空気が汚れているのは内・外どっち?

写1 .写真・牛込柳町交差点

Q.外の空気とお家の中の空気どちらが汚れていると思いますか?

A.どちらも汚れています。
 昭和45年、健康診断で交差点付近の住民の多くに鉛中毒の疑いがあることがわかり、大々的に報道されました。車の排気ガスが付近の住民の体を鉛漬けにしていたのです。
 同じ年の夏、今度は杉並区の高校で運動中の女生徒達が目がチカチカすると訴えて、光化学スモッグによるものと報道されました。以来、交差点や工事現場に「空気環境測定器」が置かれることになりました。外の空気が汚れている時代でした。
 ところがある日、空気環境測定器の数値が異常に高いことに気づいて調査がはじまりました。するとセンサーが家の中に入っていることがわかりました。「まさか、外より室内の空気の方が汚いのか」ということになって、家の中に換気扇が設置されることになりました。
 公害も収まり、換気扇が設置されるようになって、外も内も空気汚染の不安は薄れましたが、今度は室内にある建材や家具、日用品から放散する化学物質がアレルギー症状を誘発していることがわかって衝撃が走りました。これが「化学物質過敏症」で、そんな家をシックハウスと呼ぶことになりました。政府は2003年に、いわゆるシックハウス法を発令して、建材の規制と機械換気の設置を義務づけました。 
 こうして公害も室内空気汚染も落ち着いたと思ったのですが、そんなわれわれに襲いかかってきたのが、はるか遠くの大陸から飛んでくるPM2.5。この微少粒子状物質がわれわれの体を蝕もうとしています。

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