Column
空気と換気のコラム

矢口 貴志 先生

4.カビが原因で起こる健康影響や生活への影響 その②

2020/01/28

■カビを吸い込むことで起こる病気 <つづき>

2)カビによる肺などの感染症

 人の細胞の表面でカビによる炎症を起こすアレルギーに対して、人の細胞の内部までカビが侵入することを感染といいます。
 カビは通常、健康な人には感染することはありません。末期ガン、HIV感染、臓器移植などのため、免疫能が著しく低下した患者に感染します。このように免疫の低下した患者への感染を日和見感染といいます。
 
 原因菌の多くは、通常、分解菌として土壌、植物、空気中などに生息し、住環境中では主として埃の中に存在します。
 カビによる感染症は、白癬菌を除き、人から人への直接感染がありません。しかし、免疫の低下した患者、高齢者、乳幼児は、カビをなるべく吸い込まないようにすることが大切です。
 

kaze_manroujin_museru_sekiakachan_mother

 
 
 ある特定の流行地域に生活あるいは滞在していた日本人もしくは外国人が、日本国内で発症した感染症を「輸入感染症」といいます。原因菌が日本国内には本来生息していないことからこのような名称となりました。
 輸入真菌症は一般的に感染力が強く健常者でも感染する例が多くあります。そのうち最も感染力が強いものは、コクシジオイデス症で、その原因菌は、アメリカ・アリゾナ、中南米の砂漠地帯に生息します。
 昨今の日本経済の発展に伴い、ひと、物資の国際的な交流が活発になったため、本来、日本国内には生息していない病原菌による感染が増加していますので、注意が必要です。
 
boueki_yunyuutravel_happy_men

 

■「カビくさい」臭いのもと

 浴室、台所などの水回り、押し入れなどの湿気の多い場所、エアコンを久しぶりに動かした時など、室内でカビ臭を感じることがあります。
 これらは住宅に生えるカビ、クロカビ、コウジカビ、アオカビなどが生育する過程で作る物質、オクタン-3-オクタノール、二硫化ジメチルなど揮発性物質揮発性物質が原因です。
 

eakon_hokorikin_kabi

 
 その他、水や食べ物から臭うカビ臭は、これらにつくカビが作る物質、メチルイソボルネオールやゲオスミンの臭いです。
 メチルイソボルネオールは墨汁のような臭い、ゲオスミンは土臭い(もしくは泥臭い)といわれる臭いです。
 どちらも水道水におけるカビ臭の原因で、藍藻類も発生します。
 
 

■部屋干しの臭いは菌が原因

 近年、梅雨時や花粉症の季節ばかりでなく、生活習慣や住環境の変化に伴って部屋干しが日常的に行われるようになりました。しかし、なかなか洗濯物が乾かない時など、生乾きの嫌な臭いを感じることがあります。
 これは、主に表皮ブドウ球菌、モラクセラ、酢酸菌などが原因で、これらは通常、ヒトの皮膚、土の中、水回りに生息しています。
 洗濯の際、衣類、タオルなどから菌をすべて落としきれなかったため、乾燥中にこれらが繁殖し、臭いを発してしまいます。
 

kin_kabi  heyaboshi_woman2
 
 これらの臭いを防ぐには、抗菌効果のある洗剤、柔軟剤を使用することや、除湿器などを用いて湿度を下げ、早く乾燥させことが有効です。
 
 カビが好む季節・条件(温度や湿度)は、カビの基礎知識(コラム1・2)で述べていますので、ご一読ください。
 
 

(つづく)

 


■講師ご紹介

矢口貴志先生

千葉大学 真菌医学研究センター 准教授

矢口 貴志 先生

早稲田大学理工学部応用化学科卒業。明治製菓(株)を経て現千葉大学真菌医学研究センター准教授に就任。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究。「世界一受けたい授業」「林修の今でしょ講座」などテレビ出演多数。
 
 

■矢口貴志先生コラム一覧

1.カビの基礎知識 その①:カビってなんだろう?

2.カビの基礎知識 その②:こんなところにもカビ?

3.カビが原因で起こる健康影響や生活への影響 その①

 

※当コラムや画像等及びその内容に関する諸権利は、原則として株式会社トルネックスに帰属します。また、一部の画像・イラスト等の著作権は、原著作者が所有していますので、これらの無断使用、転載、二次利用を禁止いたします。

トルネックスにお問い合わせ・資料請求・ご質問・ご相談は