Column
空気と換気のコラム

安達 修一 先生(ウイルスと健康のおはなし)

1.病原体と空気

2020/08/06

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2020年は新型コロナウイルスに世界が圧倒された年になりそうです。
 
今の日本では、インフルエンザ位しか感染症を意識してこなかったと思います。
怖い病気と思い浮かぶのは、がん(癌)、心臓病、高血圧や心臓病、脳卒中など、いわゆる生活習慣病だったのではないでしょうか。
 
ところが新型コロナは、突然現れて一躍、怖い病気の王座につきました。
 
しかし、人類の歴史を辿れば、生命を奪ってきたのは感染症(伝染病)です。
人から人にうつるので伝染病と呼ばれてきました。
感染症という総称は人から人にうつらないものも知られるようになってからの新しい用語です。
そもそも、病原体という存在が明らかになってから150年、ウイルスが電子顕微鏡で見つかってから、まだ100年たっていません。
 
医学の祖といわれる紀元前のヒポクラテスは、その書物「ヒポクラテス全集」に
「空気」(風)が病気を引き起こすと書いています。


ヒポクラテス  ヒポクラテス全集
ヒポクラテスの像 と ヒポクラテス全集

 
人間にとって、空気、水、食べ物 は生きていく上で欠かせないものですが、その中に病気の原因があることに気付いていたといえるでしょう。
現代人の私たちも、空気と水と食べ物の何れかに病原体が存在する可能性のあることは、薄々気付いて生活しています。
 
しかし、この3つには、病気の広がり方に違いがあります。
 
空気は同じ空間にいるすべての人が共有しますが、水や食べ物は、摂取した人に限られます。
さらに、空気中に病原体を放出する人(病原体保有者、キャリア)は、健康であれば移動したところで放出し続けるため、多くの人に直接広める可能性があります。
まさに、新型コロナウイルスが、その例で、インフルエンザも同様です。
 
水や食べ物は、加熱したりすることで、予防できるのに、空気は猶予なく呼吸器に取り込まれます。
海外旅行では、水や食べ物には気を付けますが、空気は選ぶ余地がありません。
 

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このように説明してくると、息苦しくなってしまったかも知れません。見えない病原体というのは、本当に厄介なものです。
 
しかし、空気中の病原体は、それほど長時間存在することはできず、水の中と違って移動することも風まかせ、また、人間の呼吸器には、それら病原体から身を守る仕組みもあります。
 
新型コロナウイルスへの警戒がしばらく続きそうな中ですが、空気で運ばれる病原体、呼吸器の防御の仕組みをわかりやすく解説しますので、予防のヒントになり、不安が和らげればと思います。

(つづく)

 


■講師ご紹介

安達先生

相模女子大学 栄養科学部長 教授 医学博士

安達 修一 先生

専門分野は環境保健学。医学博士。埼玉医科大学医学部助手、講師、助教授を経て平成13年4月より現職。日本衛生学会、大気環境学会、日本癌学会等、多数の学会へ所属。環境省 微小粒子状物質環境基準の制定に携わる。
 
 

■安達修一先生コラム一覧

1.病原体と空気

2.空気で運ばれる病原体

3.呼吸器の防御の仕組みと感染の予防

 
 

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