Column
空気と換気のコラム

安達 修一 先生

2.PM2.5は呼吸で全身に侵入

2017/04/25

※音声が出ます。
 
 大気汚染については、汚い空気を長期間吸って肺がんになるという問題があるのですが、それ以外にPM2.5は非常に小さい粒子なので、呼吸により肺の奥に入り、全身に行き渡ってしまう可能性があります。
 
 呼吸器の特殊性があって、空気中には、ほこりや砂埃が存在していますが、それを肺の奥に入れない仕組みがあり、鼻・のどにある繊毛がゴミを取ります。そこを通り抜けて肺の奥まで行くのが10μm以下、PM2.5はその1/4です。肺の奥では血液にある酸素を取り込むという働きがあって人間は生きています。その空気はきれいなのが良いのですが、そこにPM2.5が含まれているということは酸素を取り込む部分が汚れて障害がでます。
 
 鼻は呼吸により入ってきた空気をきれいにする仕組みがあります。鼻の入口は小さいです奥は広くなっています。例えば、大きなビルで入口では風が吹いていて、中に入るとそんなに吹いていないということがあります。100μm程度の大きい粒子は鼻の奥に入ると空気の流れが遅くなり沈降します。さらに奥に入ると気管支があり、そこには液体が表面を潤している「繊毛」があります。そこに粒子が付着し、繊毛が押し出します。または10μmより大きな粒子は、痰などで嚥下(えんげ)されます。
 
 ところが10μmより小さいと肺の奥に入ってしまいます。そういう場合は一つは粒子やウイルスを食べる働きのある細胞マクロファージが肺炎の予防をしてくれるのですが、細菌よりも小さいPM2.5のような小さい粒子は肺の一番奥にある、とても薄い肺胞上皮細胞をすり抜け、血管の中に入り全身に駆け巡り体に悪さします。最近注目されているのが、呼吸器疾患だけではなく循環器疾患が悪化する可能性があることです。例えば動脈硬化があると冠動脈疾患(心筋梗塞など)の発生が増えることが明らかになっています。ですから環境基準としては、35μg/m3を基準とし、疾患のある人はその基準を超した場合は外出を控えるよう勧めています。
 
(つづく)
 


■講師ご紹介

安達先生

相模女子大学 栄養科学部長 教授

安達 修一 先生

専門分野は環境保健学。医学博士。埼玉医科大学医学部助手、講師、助教授を経て平成13年4月より現職。日本衛生学会、大気環境学会、日本癌学会等、多数の学会へ所属。環境省 微小粒子状物質環境基準の制定に携わる。
 
 

■安達修一先生コラム一覧

1.大気汚染はいつどこで起こるの?

2.PM2.5は呼吸で体に侵入する

3.PM2.5による健康影響

4.PM2.5の影響を受けやすい人とは?

5.PM2.5等の大気汚染から身を守るために

6.健康に暮らすための空気の重要性

 

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